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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語134】 文覚被流③〈もんがくのながされ〉】文覚を引き立てようとすると、文覚は焔を吐くような眼で御所の方をにらむと、大音声をあげた。怒鳴りながら憤怒の形相で躍り上る、夜叉のような姿である

一歩すざった安藤武者は、

ここで血を流してはまずかろうと咄嗟《とっさ》に思案して太刀を取り直すや、

峰打ちを文覚の右腕にくれた。

打たれてひるんだ文覚に、太刀をがらりと捨てた安藤武者が組みついた。

両人ともに剛力のものである。

互にえいおうと力の限り上になり下になり転がってもみ合った。

文覚力をこめて安藤武者の右腕をぐいと突けば、突かれながら文覚を絞め上げる。

その時人寄り集まり、しめたとばかりに手足をばたつかせる文覚を縛り上げた。

ほっとした彼らが文覚を引き立てようとすると、

文覚は焔を吐くような眼で御所の方をかっとにらむと、大音声をあげた。

怒鳴りながら憤怒の形相で躍り上る、夜叉《やしゃ》のような姿である。

「ご寄進なさらぬばかりか、この文覚を痛い目に合わせましたな。

必ず思い知らせましょうぞ。

三界《さんがい》に焼ける火、王宮といえども逃れられはしませんぞ。

十善の帝位に誇られる身であっても、黄泉の国に行かれてから、

牛頭馬《ごずめ》の責を免れられぬのですぞ」

「不逞《ふてい》至極の坊主なり、牢に入れよ」

 と文覚は検非違使庁の役人の手で牢に入れられた。

 こうして院の騒動は終りをつげたが、文覚に烏帽子を打ち落された資行判官は、

これを恥じてしばし出仕せず、

一方安藤武者は取り押えた賞として即座に右馬允《うまのじょう》に任ぜられた。

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