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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語130 第5巻 勧進帳①】荒れ果てた寺の堂内に入るものは日の光、月の光だけ。この神護寺の有様をみた文覚は、何んとしてもこれを再興しようと心に固く誓い勧進帳を手にして廻り歩き、寄進を募った。

 京に帰ったあと、文覚は高雄の山奥で修行した。

この山には神護寺《じんごじ》という山寺があったが、

久しい間誰も修繕しなかったので荒れるままに放置されている。

春は霞に立ちこめられ、秋は霧の中に捨ておかれ、

傷みきった寺の扉は風に吹き倒された。

そのかみ称徳天皇の御代、和気清麿が建立したというこの伽藍《がらん》も、

今は落葉の中に朽ち果て、甍《いらか》をおかす雨風は、

壁が崩れ落ち柱が倒れてむき出しになった仏壇を朽ちさせていた。

むろん住持の僧もなく、参拝に訪れる人もないので、

この寺の堂内に入るものは日の光、月の光だけである。

この神護寺の有様をみた文覚は、何んとしてもこれを再興しようと心に固く誓い、

それからというもの勧進帳を手にして檀那《だんな》を廻り歩き、

寄進を募ったのであった。

そのある時、文覚は後白河法皇の御所 法住寺殿《ほうじゅうじどの》にやってきた。

御奉加賜れと奏上したが、折しも管絃の催しの時だったので、

誰もこれを法皇に伝えなかった。

いくら待っても一向に返事の気配見えないので、ついに文覚は意を決した。

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