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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【平家物語129 第5巻 文覚の荒行⑤】わが行《ぎょう》を不動明王がしろしめすところとはなったかと、これなら大願も成就するであろうと勇気百倍で滝壺に戻った。そして、文覚の身に瑞相《ずいそう》が現れた

「私たちは大聖不動明王《だいしょうふどうみょうおう》の御使の、

金伽羅《こんがら》、勢多伽《せいたか》という童子、

文覚無上の大願を起して勇猛な行《ぎょう》を企てているから、

行って力を借してやれとの仰せ、不動明王のご命令で現れたのです」

 と童子の一人が答うれば、文覚はたちまち声を荒らげていった。

「不動明王はどこにおられるか?」

「都率天《とそつてん》に」

と優しい声で答えると、天童二人笑をたたえてゆるやかに空高く昇って消えた。

 文覚は思わず正座すると合掌した。

さてはわが行《ぎょう》を不動明王がしろしめすところとはなったか、

これなら大願も成就するであろうと勇気百倍、晴れやかな顔で滝壺にもどっていった。

果してそれからというもの、文覚の身に瑞相《ずいそう》が現れた。

吹き荒ぶ冷い嵐も彼には春の微風と思われ、凍る滝壺の水も湯のように感じられた。

こうして三七、二十一日の大願遂に成ったので、

那智神社に千日間参籠、ついに目的を遂げたのであった。

その後、大峰に三度、葛城《かつらぎ》に二度、

高野《こうや》、粉川《こがわ》、金峰山《きんぷせん》、白山《はくさん》、立山、

富士の嶽《たけ》、伊豆、箱根、信濃の戸隠《とがくし》、出羽の羽黒など、

日本全国くまなく廻り修行した。

この文覚について都人たちは飛ぶ鳥でも祈り落すであろう、

刃のように鋭い修験者だと評判しあったのである。

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