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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【🌹源氏物語753 初音12】末摘花の姫君は「醍醐の阿闍梨さんの世話に手がかかりまして、仕立て物が間に合いませんでした上に、毛皮なども借りられてしまい寒いのです」阿闍梨は、鼻の赤い兄の僧のことである。

 源氏は見かねて言った。

「あなたの着物のことなどをお世話する者がありますか。

こんなふうに気楽に暮らしていてよい人というものは、

外見はどうでも、何枚でも着物を着重ねているのがいいのですよ。

表面だけの体裁よさを作っているのはつまりませんよ」

 女王はさすがにおかしそうに笑った。

「醍醐《だいご》の阿闍梨《あじゃり》さんの世話に手がかかりましてね

、仕立て物が間に合いませんでした上に、

毛皮なども借りられてしまいまして寒いのですよ」

 と説明する阿闍梨というのは鼻の非常に赤い兄の僧のことである。

あまりに見栄を知らない女であると思いながらも、

ここではまじめな一面だけを見せている源氏はなおも注意をする。

「毛皮はお坊様にあげたほうが適当でいいのですよ、

そんな物より、白い着物という物は何枚でも重ねて着ていいのですからね。

なぜあなたはそうしないのですか。

入り用な物も送ってよこすのを私が忘れていれば、遠慮なく言ってよこしてください。

もとからぼんやりとした私はまた怠《なま》け者でもあるし、

ほかの方たちのこととこんがらがってしまうこともあって、済まない結果にもなるのですよ」

 と言って源氏は、隣の二条院のほうの蔵《くら》をあけさせ、

絹や綾《あや》を多く紅《くれない》の女王に贈った。

荒れた所もないが、男主人の平生住んでいない家は、

どことなく寂しい空気のたまっている気がした。

前の庭の木立ちだけは春らしく見えて、

咲いた紅梅なども賞翫《しょうがん》する人のないのをながめて、

ふるさとの春の木末にたづねきて世の常ならぬ花を見るかな

 と源氏は独言《ひとりごと》したが、

鼻の赤い夫人は何のこととも気づかなかったであろう。

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