年末になって、新年の室内装飾、春の衣裳を配る時にも、
源氏は玉鬘を尊貴な夫人らと同じに取り扱った。
どんなに思いのほかによい趣味を知った人と見えても、
またどんなまちがった物の取り合わせをするかもしれぬという
不安な気持ちもあって、
玉鬘のほうへはすでに衣裳にでき上がった物を贈ることにしたが、
その時にほうぼうの織物師が力いっぱいに念を入れて作り出した
厚織物の細長や小袿《こうちぎ》の仕立てたのを
源氏は手もとへ取り寄せて見た。
「非常にたくさんありますね。
奥さんたちなどにもそれぞれよい物をえって贈ることにしよう」
と源氏が夫人に言ったので、
女王は裁縫係の所にでき上がっている物も、
手もとで作らせた物もまた皆出して源氏に見せた。
紫の女王はこうした服飾類を製作させることに趣味と能力を
持っている点ででも源氏はこの夫人を尊重しているのである。
あちらこちらの打ち物の上げ場から仕上がって来ている
糊《のり》をした打ち絹も源氏は見比べて、
濃い紅《べに》、朱の色などとさまざまに分けて、
それを衣櫃《ころもびつ》、衣服箱などに添えて入れさせていた。
高級な女房たちがそばにいて、これをそれに、
それをこれにというように源氏の命じるままに
贈り物を作っているのであった。
💐🎼#最果てのルージュ written by #のる
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