
きっと望みの所へ導いてくださるでしょうから、
お詣《まい》りをなさるがいいと思います。
ここから近い八幡《やわた》の宮は九州の松浦、
箱崎《はこざき》と同じ神様なのですから、
あちらをお立ちになる時、お立てになった願もありますから、
神の庇護で無事に帰京しましたというお礼参りをなさいませ」
と豊後介は言って、姫君に八幡詣《やわたまい》りをさせた。
八幡のことにくわしい人に聞いておいて、
御師《おし》という者の中に、
昔親の少弐が知っていた僧の残っているのを呼び寄せて、
案内をさせたのである。
「このつぎには、
仏様の中で長谷《はせ》の観音様は霊験のいちじるしいものがあると
支那《しな》にまで聞こえているそうですから、
お参りになれば、
遠国にいて長く苦労をなすった姫君を
きっとお憐《あわれ》みになってよいことがあるでしょう」
また豊後介は姫君に長谷詣《はせもう》でを勧めて実行させた。
船や車を用いずに徒歩で行くことにさせたのである。
かつて経験しない長い路《みち》を歩くことは姫君に苦しかったが、
人が勧めるとおりにして、
つらさを忍んで夢中で歩いて行った。
自分は前生に
どんな重い罪障があってこの苦しみに堪えねばならないのであろう、
母君はもう死んでおいでになるにしても、
自分を愛してくださるならその国へ自分をつれて行ってほしい。
しかしまだ生きておいでになるのなら
お顔の見られるようにしていただきたいと姫君は観音を念じていた。
🪷🎼黄昏と水平線 written by 天野七祈
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