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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語689 第21帖 乙女44】年末には正月の衣裳を大宮は若君のために仕度あそばされた。幾重ねも美しい春の衣服を見ても心は晴れず 失恋の悲しみに心は沈んでいた。

大宮は尼姿になっておいでになるがまだお美しかったし、

そのほかどこでこの人の見るのも

相当な容貌が集められている女房たちであったから、

女の顔は皆きれいなものであると思っていたのが、

若い時から美しい人でなかった花散里が、

女の盛りも過ぎて衰えた顔は、

痩《や》せた貧弱なものになり、

髪も少なくなっていたりするのを見て、

こんなふうに思うのである。

 年末には正月の衣裳を大宮は

若君のためにばかり仕度《したく》あそばされた。

幾重ねも美しい春の衣服のでき上がっているのを、

若君は見るのもいやな気がした。

「元旦だって、私は必ずしも参内するものでないのに、

 何のためにこんなに用意をなさるのですか」

「そんなことがあるものですか。

 廃人の年寄りのようなことを言う」

「年寄りではありませんが廃人の無力が自分に感じられる」

若君は独言《ひとりごと》を言って涙ぐんでいた。

失恋を悲しんでいるのであろうと、

哀れに御覧になって宮も寂しいお顔をあそばされた。

💐🎼寂しさを募らせて written by ゆうり

 

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