命婦《みょうぶ》とか弁《べん》とか
秘密にあずかっている女房が驚いていろいろな世話をする。
源氏は宮が恨めしくてならない上に、
この世が真暗《まっくら》になった気になって
呆然として朝になってもそのまま御寝室にとどまっていた。
御病気を聞き伝えて御帳台のまわりを
女房が頻繁《ひんぱん》に往来することにもなって、
源氏は無意識に塗籠《ぬりごめ》(屋内の蔵)の中へ
押し入れられてしまった。
源氏の上着などをそっと持って来た女房も怖しがっていた。
宮は未来と現在を御悲観あそばしたあまりに
逆上《のぼせ》をお覚えになって、
翌朝になってもおからだは平常のようでなかった。
兄君の兵部卿の宮とか中宮大夫などが参殿し、
祈りの僧を迎えようなどと言われているのを
源氏は苦しく聞いていたのである。
日が暮れるころにやっと御病悩はおさまったふうであった。
源氏が塗籠で一日を暮らしたとも中宮様はご存じでなかった。
命婦や弁なども御心配をさせまいために申さなかったのである。
🌸🎼 花夜行 written by のる
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