心から かたがた袖《そで》を 濡《ぬ》らすかな
明くと教ふる 声につけても
尚侍のこう言う様子はいかにもはかなそうであった。
歎《なげ》きつつ 我が世はかくて 過ぐせとや
胸のあくべき 時ぞともなく
落ち着いておられなくて源氏は別れて出た。
まだ朝に遠い暁月夜で、
霧が一面に降っている中を
簡単な狩衣《かりぎぬ》姿で歩いて行く源氏は美しかった。
この時に承香殿《じょうきょうでん》の女御《にょご》の兄である
頭中将《とうのちゅうじょう》が、
藤壺《ふじつぼ》の御殿から出て、
月光の蔭《かげ》になっている立蔀《たてじとみ》の前に立っていたのを、
不幸にも源氏は知らずに来た。
批難の声はその人たちの口から起こってくるであろうから。
🌸🎼 花夜行 written by のる🌸
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