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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

【源氏物語210 第十帖 賢木22】加茂の斎院は、式部卿の宮の朝顔の姫君に決まった。朝顔の宮に恋をしていた源氏は残念に思った。

 

加茂の斎院は父帝の喪のために引退されたのであって、

そのかわりに式部卿《しきぶきょう》の宮の朝顔の姫君

職をお継ぎになることになった。

伊勢へ女王が斎宮になって行かれたことはあっても、

加茂の斎院はたいてい内親王の方がお勤めになるものであったが、

相当した女御腹《にょごばら》の宮様がおいでにならなかったか、

この卜定《ぼくじょう》があったのである。

源氏は今もこの女王に恋を持っているのであるが、

結婚も不可能な神聖な職にお決まりになった事を残念に思った。

女房の中将は今もよく源氏の用を勤めたから、

手紙などは始終やっているのである。

当代における自身の不遇などは何とも思わずに、

源氏は恋を歎《なげ》いていた、

斎院と尚侍《ないしのかみ》のために。

帝は院の御遺言のとおりに源氏を愛しておいでになったが、

お若い上に、きわめてお気の弱い方でいらせられて、

母后や祖父の大臣の意志によって行なわれることを

どうあそばすこともおできにならなくて、

朝政に御不満足が多かったのである。

昔よりもいっそう恋の自由のない境遇にいても

尚侍は文によって絶えず恋をささやく源氏を持っていて

幸福感がないでもなかった。

🌸🎼月之渓 🌸 written by ilodolly

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