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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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【源氏物語196 第十帖 賢木8】この人を、永久につなぐことのできた糸は、自分の過失で切れてしまったと悔やむ源氏

この人を永久につなぐことのできた糸は、

自分の過失で切れてしまったと悔やみながらも、

明るくなっていくのを恐れて源氏は去った。

そして二条の院へ着くまで絶えず涙がこぼれた。

女も冷静でありえなかった。

別れたのちの物思いを抱いて

弱々しく秋の朝に対していた。

ほのかに月の光に見た源氏の姿を

なお幻に御息所は見ているのである。

 

源氏の衣服から散ったにおい、

そんなものは若い女房たちを忌垣《いがき》の中で

狂気にまでするのではないかと思われるほど

今朝もほめそやしていた。

「どんないい所へだって、

 あの大将さんをお見上げすることのできない国へは

 行く気がしませんわね」

こんなことを言う女房は皆涙ぐんでいた。

 

この日源氏から来た手紙は情がことにこまやかに出ていて、

御息所に旅を断念させるに足る力もあったが、

官庁への通知も済んだ今になって変更のできることでもなかった。

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