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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

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夫婦の溝は 埋まらない【源氏物語104 第七帖 紅葉賀6】左大臣も恨めしく思うが 会えば恨みを忘れ 源氏にかしずくことが幸福のようである

 

💠源氏は御所から左大臣家のほうへ退出した。

例のように夫人からは

高いところから多情男を見くだしているというような

よそよそしい態度をとられるのが苦しくて、

源氏は、

「せめて今年からでもあなたが暖かい心で

 私を見てくれるようになったらうれしいと思うのだが」

と言ったが、

夫人は、

二条の院へある女性が迎えられたということを聞いてからは、

本邸へ置くほどの人は源氏の最も愛する人で、

やがては正夫人として

公表するだけの用意がある人であろうとねたんでいた。

 

自尊心の傷つけられていることはもとよりである。

しかも何も気づかないふうで、

戯談《じょうだん》を言いかけて行きなどする源氏に負けて、

余儀なく返辞をする様子などに魅力がなくはなかった。

四歳《よっつ》ほどの年上であることを

夫人自身でもきまずく恥ずかしく思っているが、

美の整った女盛りの貴女《きじょ》であることは

源氏も認めているのである。

 

どこに欠点もない妻を持っていて、

ただ自分の多情からこの人に怨《うら》みを負うような

愚か者になっているのだと こんなふうにも源氏は思った。

同じ大臣でも 特に大きな権力者である現代の左大臣が父で、

内親王である夫人から生まれた唯一の娘であるから、

思い上がった性質にでき上がっていて、

少しでも敬意の足りない取り扱いを受けては、

許すことができない。

 

帝《みかど》の愛子として育った源氏の自負は

それを無視してよいと教えた。

こんなことが夫妻の溝《みぞ》を作っているものらしい。

左大臣も二条の院の新夫人の件などがあって、

頼もしくない婿君の心をうらめしがりもしていたが、

逢えば恨みも何も忘れて源氏を愛した。

今もあらゆる歓待を尽くすのである。

 

翌朝源氏が出て行こうとする時に、

大臣は装束を着けている源氏に、

有名な宝物になっている石の帯を自身で持って来て贈った。

正装した源氏の形《すがた》を見て、

後ろのほうを手で引いて直したりなど大臣はしていた。

《くつ》も手で取らないばかりである。

娘を思う親心が源氏の心を打った。

 

「こんないいのは、宮中の詩会があるでしょうから、

 その時に使いましょう」

と贈り物の帯について言うと、

「それにはまたもっといいのがございます。

 これはただちょっと珍しいだけの物です」

と言って、大臣はしいてそれを使わせた。

この婿君を斎《かしず》くことに大臣は生きがいを感じていた。

たまさかにもせよ 婿としてこの人を出入りさせていれば

幸福感は十分大臣にあるであろうと見えた。

 

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💠源氏物語 第七帖 紅葉賀💠(前半)

世間は朱雀院で開かれる紅葉賀に向けての準備でかまびすしい。

桐壺帝は最愛の藤壺が懐妊した喜びに酔いしれ、

一の院の五十歳の誕生日の式典という慶事を

より盛大なものにしようという意向を示しているため、 臣下たちも舞楽の準備で浮き立っている。

ところが、それほどまでに望まれていた藤壺の子は桐壺帝の御子ではなく、

その最愛の息子光源氏の子であった。

このことが右大臣側の勢力、特に東宮の母で藤壺のライバル、

また源氏の母を迫害した張本人である弘徽殿女御に発覚したら二人の破滅は確実なのだが、

若い源氏は向こう見ずにも藤壺に手紙を送り、また親しい女官を通して面会を求め続けていた。

一方で、藤壺は立后を控え狂喜する帝の姿に罪悪感を覚えながらも、

一人秘密を抱えとおす決意をし、源氏との一切の交流を持とうとしない。

源氏はそのため華やかな式典で舞を披露することになっても浮かない顔のままで、

唯一の慰めは北山から引き取ってきた藤壺の姪に当たる少女若紫(後の紫の上)の

無邪気に人形遊びなどをする姿であった。

帝は式典に参加できない藤壺のために、

特別に手の込んだ試楽(リハーサル)を宮中で催すことに決める。

源氏は青海波の舞を舞いながら御簾の奥の藤壺へ視線を送り、

藤壺も一瞬罪の意識を離れて源氏の美貌を認める。

源氏を憎む弘徽殿女御は、舞を見て

「まことに神が愛でて、さらわれそうな美しさだこと。おお怖い。」と皮肉り、

同席していたほかの女房などは「なんて意地の悪いことを」と噂する。

紅葉の中見事に舞を終えた翌日、

源氏はそれとは解らぬように藤壺に文を送ったところ、 思いがけず返事が届き胸を躍らせた。

五十の賀の後、源氏は正三位に。

頭中将は正四位下に叙位される。

この褒美に弘徽殿女御は「偏愛がすぎる」と不満を露わにし、東宮に窘められる。

翌年二月、藤壺は無事男御子(後の冷泉帝)を出産。

桐壺帝は最愛の源氏にそっくりな美しい皇子を再び得て喜んだが、

それを見る源氏と藤壺は内心罪の意識に苛まれるのだった。

 

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