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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

末摘花の生活も持ち直す【源氏物語97 第六帖 末摘花17】末摘花の姫のところに来た源氏。屋敷も普通の家らしくなり 姫君も 源氏の贈った衣装で現代風になった。

三十日の夕方に宮家から贈った衣箱の中へ、

源氏が他から贈られた白い小袖の一重ね、

赤紫の織物の上衣《うわぎ》、

そのほかにも山吹色とかいろいろな物を入れたのを

命婦が持たせてよこした。

「こちらでお作りになったのがよい色じゃなかったという

 あてつけの意味があるのではないでしょうか」

と一人の女房が言うように、

だれも常識で考えてそうとれるのであるが、

「でもあれだって赤くて、重々しいできばえでしたよ。

 まさかこちらの好意がむだになるということはないはずですよ」

老いた女どもはそう決めてしまった。

 

「お歌だってこちらのは意味が強く 徹底しておできになっていましたよ。

 御返歌は技巧が勝ち過ぎてますね」

これもその連中の言うことである。

末摘花《すえつむはな》も大苦心をした結晶であったから、

自作を紙に書いておいた。

 

 元三日が過ぎてまた今年は男踏歌《おとことうか》

あちらこちらと若い公達《きんだち》

歌舞をしてまわる騒ぎの中でも、

寂しい常陸の宮を思いやっていた源氏は、

七日の白馬《あおうま》の節会《せちえ》が済んでから、

お常御殿を下がって、

桐壺で泊まるふうを見せながら 夜がふけてから末摘花の所へ来た。

 

これまでに変わってこの家が普通の家らしくなっていた。

女王の姿も少し女らしいところができたように思われた。

すっかり見違えるほどの人にできれば

どんなに犠牲の払いがいがあるであろうなどとも源氏は思っていた。

日の出るころまでもゆるりと翌朝はとどまっていたのである。

東側の妻戸をあけると、

そこから向こうへ続いた廊がこわれてしまっているので、

すぐ戸口から日がはいってきた。

 

少しばかり積もっていた雪の光も混じって室内の物が皆よく見えた。

源氏が直衣《のうし》を着たりするのをながめながら

横向きに寝た末摘花の頭の形も

その辺の畳にこぼれ出している髪も美しかった。

この人の顔も美しく見うる時が至ったらと、

こんなことを未来に望みながら格子《こうし》を源氏が上げた。

かつてこの人を残らず見てしまった雪の夜明けに

後悔されたことも思い出して、ずっと上へは格子を押し上げずに、

脇息《きょうそく》をそこへ寄せて支えにした。

 

源氏が髪の乱れたのを直していると、非常に古くなった鏡台とか、

支那《しな》出来の櫛箱《くしばこ》

掻《か》き上げの箱などを女房が運んで来た。

さすがに普通の所にはちょっとそろえてあるものでもない

男専用の髪道具もあるのを源氏はおもしろく思った。

 

末摘花が現代人風になったと見えるのは 三十日に贈られた衣箱の中の物が

すべて そのまま用いられているからであるとは

源氏の気づかないところであった。

よい模様であると思った袿《うちぎ》にだけは見覚えのある気がした。

 

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【源氏物語 第六帖 末摘花】

乳母子の大輔の命婦から亡き常陸宮の姫君の噂を聞いた源氏は、

「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱いて求愛した。

親友の頭中将とも競い合って逢瀬を果たしたものの、

彼女の対応の覚束なさは源氏を困惑させた。

さらにある雪の朝、姫君の顔をのぞき見た光源氏はその醜さに仰天する。

その後もあまりに世間知らずな言動の数々に辟易しつつも、

源氏は彼女の困窮ぶりに同情し、また素直な心根に見捨てられないものを感じて、

彼女の暮らし向きへ援助を行うようになった。

二条の自宅で源氏は鼻の赤い女人の絵を描き、

さらに自分の鼻にも赤い絵の具を塗って、若紫と兄妹のように戯れるのだった。

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