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源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

いつまでもいると思うな親と彼女 【源氏物語 19 第2帖 箒木8】 しばらく通ってなかったら あっさり別の恋人が💦左馬頭 お気の毒

【源氏物語 第二帖 💠箒木(ははきぎ)】  〜五月雨が降る夜、光源氏が宮中で宿直をしているところに、頭中将(葵の上の兄)ら仲間の貴公子たちが訪れた。 各々自分の恋愛体験を語り、女性を三つの品、上の品、中の品、下の品と階級に分けて自分の持論を展開します。 光源氏はこの話し合いをきっかけに、それまで縁のなかった中流の女性に興味を持つようになりました。 そして、光源氏は方違えに、紀伊守の屋敷に行くことになった。 そこで伊予守の妻で、紀伊守の継母の空蝉に契を結びます(中の品の女人) 空蝉も光源氏に心惹かれますが、あまりの立場の違いから距離をとります。

 


「その時分にまたもう一人の情人がありましてね、

 身分もそれは少しいいし、 才女らしく歌を詠《よ》んだり、

 達者に手紙を書いたりしますし、

 音楽のほうも相当なものだったようです。

 感じの悪い容貌《きりょう》でもありませんでしたから、

 やきもち焼きのほうを世話女房にして置いて、

 そこへはおりおり通って行ったころにはおもしろい相手でしたよ。 

 

 あの女が亡くなりましたあとでは、

 いくら今さら愛惜しても死んだものはしかたがなくて、

 たびたびもう一人の女の所へ行くようになりますと、

 なんだか体裁屋で、風流女を標榜している点が気に入らなくて、

 一生の妻にしてもよいという気はなくなりました。

 あまり通わなくなったころに、

 もうほかに恋愛の相手ができたらしいのですね、

 十一月ごろのよい月の晩に、私が御所から帰ろうとすると、

 ある殿上役人が来て私の車へいっしょに乗りました。

 私はその晩は父の大納言の家へ行って泊まろうと思っていたのです。

 途中でその人が、

 『今夜私を待っている女の家があって、

 そこへちょっと寄って行ってやらないでは気が済みませんから』

 と言うのです。

 私の女の家は道筋に当たっているのですが、

 こわれた土塀から池が見えて、

 庭に月のさしているのを見ると、

 私も寄って行ってやっていいという気になって、

 その男の降りた所で私も降りたものです。

 その男のはいって行くのはすなわち私の行こうとしている家なのです。

 初めから今日の約束があったのでしょう。

 男は夢中のようで、のぼせ上がったふうで、

 門から近い廊《ろう》の室の縁側に腰を掛けて、

 気どったふうに月を見上げているんですね。

 それは実際白菊が紫をぼかした庭へ、

 風で紅葉《もみじ》がたくさん降ってくるのですから、

 身にしむように思うのも無理はないのです。

 男は懐中から笛を出して吹きながら合い間に

 『飛鳥井《あすかゐ》に 宿りはすべし 蔭《かげ》もよし』

 などと歌うと、

 中ではいい音のする倭琴《やまとごと》を

 きれいに弾いて合わせるのです。

 相当なものなんですね。

 律の調子は女の柔らかに弾くのが御簾《みす》の中から聞こえるのも

 はなやかな気のするものですから、

 明るい月夜にはしっくり合っています。

 男はたいへんおもしろがって、

 琴を弾いている所の前へ行って、

『紅葉の積もり方を見るとだれもおいでになった様子はありませんね。

 あなたの恋人はなかなか冷淡なようですね』

 などといやがらせを言っています。

 菊を折って行って、

『琴の音も菊もえならぬ宿ながらつれなき人を引きやとめける。だめですね』

 などと言って また

 『いい聞き手のおいでになった時にはもっとうんと弾いてお聞かせなさい』

 こんな嫌味《いやみ》なことを言うと、

 女は作り声をして

『こがらしに吹きあはすめる笛の音を引きとどむべき言の葉ぞなき』

 などと言ってふざけ合っているのです。

 私がのぞいていて憎らしがっているのも知らないで、

 今度は十三絃《げん》を派手《はで》に弾き出しました。

 才女でないことはありませんがきざな気がしました。

 遊戯的の恋愛をしている時は、

 宮中の女房たちとおもしろおかしく交際していて、

 それだけでいいのですが、

 時々にもせよ愛人として通って行く女が

 そんなふうではおもしろくないと思いまして、

 その晩のことを口実にして別れましたがね。

 

 この二人の女を比べて考えますと、

 若い時でさえもあとの風流女のほうは

 信頼のできないものだと知っていました。

 もう相当な年配になっている私は、

 これからはまたそのころ以上にそうした

 浮華なものがきらいになるでしょう。

 いたいたしい萩《はぎ》の露や、

 落ちそうな笹の上の霰《あられ》などにたとえていいような

 艶《えん》な恋人を持つのがいいように

 今あなたがたはお思いになるでしょうが、

 私の年齢まで、

 まあ七年もすればよくおわかりになりますよ、

 私が申し上げておきますが、

 風流好みな多情な女には気をおつけなさい。

 三角関係を発見した時に夫の嫉妬で問題を起こしたりするものです」

左馬頭は二人の貴公子に忠言を呈した。

例のように中将はうなずく。

少しほほえんだ源氏も左馬頭の言葉に真理がありそうだと思うらしい。

あるいは二つともばかばかしい話であると笑っていたのかもしれない。

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