源氏物語&古典文学🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典文学をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

源氏物語 第四帖 夕顔(ゆうがお)

【源氏物語226 第十帖 賢木38】源氏は、朝顔の斎院に手紙を送った。お返事の手紙の字は斎院のお字には細かな味わいはないが、高雅で漢字のくずし方など巧みである。

斎院のいられる加茂はここに近い所であったから 手紙を送った。 女房の中将あてのには、 『物思いがつのって、とうとう家を離れ、 こんな所に宿泊していますことも、 だれのためであるかとはだれもご存じのないことでしょう。』 などと恨みが述べてあった。 …

夕顔の亡骸に最後の別れを望む源氏【源氏物語 50 第4帖 夕顔16 完】冷たくなっても美しく可憐な夕顔に慟哭する。右近は二条院に仕える

「よくないことだとおまえは思うだろうが、 私はもう一度 遺骸を見たいのだ。 それをしないではいつまでも憂鬱が続くように思われるから、 馬ででも行こうと思うが」 主人の望みを、 とんでもない軽率なことであると思いながらも 惟光は止めることができなか…

弱りきった源氏を支える惟光【源氏物語 49 第4帖 夕顔15】心身ともに弱りきった源氏。葬儀や、源氏の名誉を守るために抜かりなく動く惟光。右近も悲しみに沈む

「今お話ししたようにこまかにではなく、 ただ思いがけぬ穢れにあいましたと申し上げてください。こんなので今日は失礼します」 素知らず顔には言っていても、心にはまた愛人の死が浮かんできて、 源氏は気分も非常に悪くなった。 だれの顔も見るのが物憂《…

頭中将の見舞いを受ける【源氏物語 48 第4帖 夕顔14】夕顔の亡骸は美しく思われた。二条院についた源氏はひどく具合が悪くなる。頭中将に会い見舞いを受ける

源氏自身が遺骸《いがい》を車へ載せることは無理らしかったから、 茣蓙《ござ》に巻いて惟光《これみつ》が車へ載せた。 小柄な人の死骸からは 悪感は受けないできわめて美しいものに思われた。 残酷に思われるような扱い方を遠慮して、 確かにも巻かなんだ…

夕顔の亡骸を東山に移す【源氏物語 47 第4帖 夕顔13】苦しく辛い夜が明け 惟光が来た。表沙汰にならぬよう 夕顔の亡骸を東山の寺に移す。源氏は嘆き悲しむ

灯はほのかに瞬《またた》いて、中央の室との仕切りの所に立てた屏風の上とか、 室の中の隅々《すみずみ》とか、暗いところの見えるここへ、 後ろからひしひしと足音をさせて何かが寄って来る気がしてならない、 惟光が早く来てくれればよいとばかり源氏は思…

物言わぬ亡骸となった夕顔【源氏物語 46 第4帖 夕顔 12】 夕顔の女君の身体は冷たく 息は絶えている。源氏が枕元に夢で見た女が見え、そしてすっと消えた

「とても気持ちが悪うございますので下を向いておりました。 奥様はどんなお気持ちでいらっしゃいますことでしょう」 「そうだ、なぜこんなにばかりして」 と言って、手で探ると夕顔は息もしていない。 動かしてみてもなよなよとして気を失っているふうであ…

魔性の女の出現【源氏物語 45 第4帖 夕顔11】魔性の女が 恨み言を言いながら女君に手に掛ける。源氏は、随身に魔除けの弦打ちを命じ、惟光を呼ぶ

「私がどんなにあなたを愛しているかしれないのに、私を愛さないで、 こんな平凡な人をつれていらっしって愛撫《あいぶ》なさるのはあまりにひどい。 恨めしい方」 と言って横にいる女に手をかけて起こそうとする。 こんな光景を見た。 苦しい襲われた気持ち…

源氏は初めて 夕顔に顔を見せる【源氏物語44 第4帖 夕顔10】夕顔も打ち解けている。六条御息所を気に掛ける。夜、枕元に美しい女が座っている

『夕露に ひもとく花は 玉鉾《たまぼこ》の たよりに見えし 縁《えに》こそありけれ』 あなたの心あてにそれかと思うと言った時の人の顔を 近くに見て幻滅が起こりませんか」 と言う源氏の君を後目《しりめ》に女は見上げて、 『光ありと 見し夕顔の うは露…

人目を引かぬ間にと思って源氏は出かけるのを急いだ。 女のからだを源氏が軽々と抱いて車に乗せ 右近が同乗したのであった。 五条に近い帝室の後院である某院へ着いた。 #夕顔 #源融 #夕顔 #光源氏 #源氏物語

呼び出した院の預かり役の出て来るまで留めてある車から、 忍ぶ草の生い茂った門の廂《ひさし》が見上げられた。 たくさんにある大木が暗さを作っているのである。 霧も深く降っていて空気の湿っぽいのに 車の簾《すだれ》を上げさせてあったから源氏の袖も …

源氏は夕顔を永遠に共にいたいと願う【源氏物語 42 第4帖 8】夕顔は繊細な感じのする可憐な美女。二人でゆっくり過ごそうと帝室の後院である某院に行く。

白い袷《あわせ》に柔らかい淡紫《うすむらさき》を重ねた はなやかな姿ではない、ほっそりとした人で、 どこかきわだって非常によいというところはないが 繊細な感じのする美人で、 ものを言う様子に弱々しい可憐《かれん》さが十分にあった。 才気らしいも…

夕顔は頭中将の恋人だった?【源氏物語 41 第4帖 夕顔 7】強く惹かれる源氏。頭中将の恋人だったのではと思う。庶民の生活の音、小さな庭の秋に情緒を感じる

源氏もこんなに真実を隠し続ければ、 自分も女のだれであるかを知りようがない、 今の家が仮の住居であることは間違いのないことらしいから、 どこかへ移って行ってしまった時に、 自分は呆然《ぼうぜん》とするばかりであろう。 行くえを失ってもあきらめが…

源氏は夕顔に夢中になる【源氏物語 40 第4帖 夕顔 6】惟光の努力で 源氏は身分を隠し 夕顔の女君に通うようになる。鷹揚で不思議な魅力に源氏は夢中になる

「確かにその車の主が知りたいものだ」 もしかすれば それは頭中将が 忘られないように話した 常夏《とこなつ》の歌の女ではないかと思った源氏の、 も少しよく探りたいらしい顔色を見た惟光《これみつ》は、 「われわれ仲間の恋と見せかけておきまして、 実…

物思いに沈む六条御息所【源氏物語 39 第4帖 夕顔5】源氏 中将(女房)にちょっかいを出す。夕顔は頭中将ゆかりの女君なのか?

源氏よりは八歳上の二十五であったから、 不似合いな相手と恋に堕《お》ちて、 すぐにまた愛されぬ物思いに沈む運命なのだろうかと、 待ち明かしてしまう夜などには煩悶《はんもん》することが多かった。 霧の濃くおりた朝、帰りをそそのかされて、 ねむそう…

空蝉の夫 伊予介の挨拶🍊【源氏物語 38 第4帖 夕顔 4】源氏はやましく思う。空蝉は夫と共に遠国に。忘れられぬ女君となる

「そんなことから隣の家の内の秘密が わからないものでもないと思いまして、 ちょっとした機会をとらえて隣の女へ手紙をやってみました。 するとすぐに書き馴《な》れた達者な字で返事がまいりました、 相当によい若い女房もいるらしいのです」 「おまえは、…

不思議な 夕顔の花の女君【源氏物語 37 第4帖 夕顔3】夕顔の家の女君に返歌をする。 謎の美しい女主人がいるらしいと知り 気になる源氏

【源氏物語 第四帖 夕顔(ゆうがお)】 【The Tale of Genji Chapter 4 Yugao (Evening Faces)】源氏17歳夏から10月。従者藤原惟光の母親でもある乳母の見舞いの折、隣の垣根に咲くユウガオの花に目を留めた源氏が取りにやらせたところ、邸の住人が和歌で…

乳母をお見舞いした源氏、不思議な出会いをする【源氏物語 36 第4帖 夕顔 2】源氏は乳母に 優しく声かける。夕顔の扇に「心あてに ‥」と歌が書いてある。夕顔の女君に興味を持つ

「長い間 恢復《かいふく》しないあなたの病気を心配しているうちに、 こんなふうに尼になってしまわれたから残念です。 長生きをして私の出世する時を見てください。 そのあとで死ねば九品蓮台《くぼんれんだい》の 最上位にだって 生まれることができるで…

夕顔の花の女君🌼【源氏物語 35 第4帖 夕顔 1】 源氏は乳母(惟光の母)を見舞う。隣家の夕顔の花を所望した時 これに乗せるとよいと扇を渡される。

源氏が六条に恋人を持っていたころ、御所からそこへ通う途中で、 だいぶ重い病気をし尼になった大弐《だいに》の乳母《めのと》を 訪《たず》ねようとして、五条辺のその家へ来た。 乗ったままで車を入れる大門がしめてあったので、 従者に呼び出させた乳母…