google.com, pub-8944455872984568, DIRECT, f08c47fec0942fa0

源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸

源氏物語&古典をはじめ、日常の生活に雅とユーモアと笑顔を贈ります🎁

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

【源氏物語275 第12帖 須磨9】若君の乳母の宰相の君が大臣夫人の挨拶を伝えた。宰相の君は鼻声になっていて深く悲しんでいる風である。

鳥籠 written by ハシマミ 「お目にかかってお話も伺いたかったのですが、 悲しみが先だちまして、 どうしようもございませんでしたうちに、 もうこんなに早くお出かけになるそうです。 そうなさらないではならないことになっておりますことも 何という悲し…

【源氏物語274 第12帖 須磨8】源氏は秘めた恋人と過ごす。明け方の月が美しくて、春の花の木が盛りを失って 少しの花が若葉に咲き残った庭に 淡く霧がかかる。

静かな森(Quiet forest) written by 蒲鉾さちこ 三位《さんみ》中将も来て、 酒が出たりなどして夜がふけたので 源氏は泊まることにした。 女房たちをその座敷に集めて話し合うのであったが、 源氏の隠れた恋人である中納言の君が、 人には言えない悲しみを…

【源氏物語273 第12帖 須磨7】娘が生きていたらどんなに嘆くだろうと、短命で亡くなって この悪夢を見ずに済んだことで はじめて慰めたと大臣は嘆く。

ふりつむ悲しみ written by のる 「亡《な》くなりました娘のことを、 私は少しも忘れることができずに悲しんでおりましたが、 今度の事によりまして、 もしあれが生きておりましたなら、 どんなに歎《なげ》くことであろうと、 短命で死んで、 この悪夢を見…

【源氏物語272 第12帖 須磨6】冤罪であるが、今以上の厳罰に遭わないために遠隔の地に移る方が良いと左大臣に話す。源氏も大臣も涙をおさえる袖を離すことができない。

お別れ written by ハシマミ 「何事も皆前生の報いなのでしょうから、 根本的にいえば自分の罪なのです。 私のように官位を剥奪されるほどのことでなくても、 勅勘《ちょっかん》の者は 普通人と同じように生活していることは よろしくないとされるのは こ…

【源氏物語271 第12帖 須磨5】源氏は左大臣家に行く。夕霧の若君は無邪気に源氏の膝の上に座っている。左大臣はすっかり悲しみ しおれていた。

追憶と哀しみ written by G-MIYA 出発前二、三日のことである、 源氏はそっと左大臣家へ行った。 簡単な網代車《あじろぐるま》で、 女の乗っているようにして奥のほうへ寄っていることなども、 近侍者には悲しい夢のようにばかり思われた。 昔使っていた住…

【源氏物語270 第12帖 須磨4】源氏は極めて親密な家司七、八人だけをともにして、ひっそりと出かけることにしていた。心を込めて恋人達にも手紙を書いた。

さようなら written by ハシマミ 三月の二十幾日に京を立つことにしたのである。 世間へは何とも発表せずに、 きわめて親密に思っている家司《けいし》七、八人だけを供にして、 簡単な人数で出かけることにしていた。 恋人たちの所へは手紙だけを送って、 …

【源氏物語269 第12帖 須磨3】女君達は皆 心を痛めている。藤壺の宮からも遠慮あそばしながらの御慰問が始終 源氏にあった。

やまない雨を見ていた written by キュス 花散里《はなちるさと》の君も、 源氏の通って来ることは少なくても、 一家の生活は全部 源氏の保護があってできているのであるから、 この変動の前に心をいためているのは もっともなことと言わねばならない。 源氏…

【源氏物語268 第12帖 須磨2】紫の上は「どんなひどい所だって、ごいっしょでさえあれば私はいい」と言って、行きたい希望のこばまれるのを恨めしく思っていた。

モノローグ written by Koke いとわしく思った都も、 いよいよ遠くへ離れて行こうとする時になっては、 捨て去りがたい気のするものの多いことを源氏は感じていた。 その中でも若い夫人が、 近づく別れを日々に悲しんでいる様子の哀れさは 何にもまさってい…

【源氏物語267 第12帖 須磨1】源氏は須磨を隠遁の地と考えていた。寂れて人口は少ないが、京にまで あまりに遠いと紫の上も気掛かりである。

朧朧たる夢の終わりと朝月夜的なBGM written by 鷹尾まさき(タカオマサキ) 当帝の外戚の大臣一派が極端な圧迫をして 源氏に不愉快な目を見せることが多くなって行く。 つとめて冷静にはしていても、 このままで置けば今以上な禍いが起こって来るかもしれぬ…

【源氏物語266 第十一帖 花散里6 完】源氏は静かに親しい風で座敷に入っていった。言葉を尽くし恋を語る源氏。嘘ではないのである。

西座敷のほうへは、静かに親しいふうではいって行った。 忍びやかに目の前へ現われて来た美しい恋人を見て、 どれほどの恨みが女にあっても忘却してしまったに違いない。 恋しかったことをいろいろな言葉にして源氏は告げていた。 嘘《うそ》ではないのであ…

【源氏物語265 第十一帖 花散里5】「橘の香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を 訪ねてぞとふ」女御はしんみりとした気持ちになった。

モノローグ written by Koke 「橘の 香をなつかしみ ほととぎす 花散る里を 訪ねてぞとふ」 昔の御代《みよ》が恋しくてならないような時には どこよりもこちらへ来るのがよいと今わかりました。 非常に慰められることも、 また悲しくなることもあります。 …

【源氏物語264 第11帖 花散里4】橘の木が懐かしい香を送る。女御は柔らかい気分の受け取れる上品な人であった。昔の宮廷の話をし 源氏は色々と思い出し泣いた。

巡る思い出 written by 蒲鉾さちこ 目的にして行った家は、 何事も想像していたとおりで、 人少なで、寂しくて、身にしむ思いのする家だった。 最初に女御の居間のほうへ訪ねて行って、 話しているうちに夜がふけた。 二十日月が上って、 大きい木の多い庭が…

【源氏物語263 第11帖 花散里3】歌を読みかけるも、女はわざと知らない風である。源氏はもっともであると思いつつも もの足らぬ気がした。

あの日の僕たちへ(Dear Our Past Days) written by 蒲鉾さちこ ほととぎす 語らふ声は それながら あなおぼつかな 五月雨《さみだれ》の空 こんな返歌をするのは、 わからないふうをわざと作っているらしいので、 「では門違いなのでしょうよ」 と惟光が言…

【源氏物語262 第11帖 花散里2】中川辺を通っていく和琴を弾く音がした。そこは源氏がただ一度きたことがある女の家だった。

徒桜 written by のる 中川辺を通って行くと、 小さいながら庭木の繁りようなどのおもしろく見える家で、 よい音のする琴を和琴《わごん》に合わせて派手に弾く音がした。 源氏はちょっと心が惹かれて、 往来にも近い建物のことであるから、 なおよく聞こう…

🪷源氏物語 第十一帖 花散里(はなちるさと)

光源氏25歳夏の話。 五月雨の頃、 源氏は故桐壺院の妃の一人麗景殿女御を訪ねる。 妹の三の君(花散里)は源氏の恋人で、 姉妹は院の没後源氏の庇護を頼りに ひっそりと暮らしていた。 訪問の途中、 かつて会った中川の女の元に歌を詠みかけるが、 既に心変…

【源氏物語261 第11帖 花散里1】麗景殿の女御の妹君の花散里(はなちるさと)と古くからの恋仲であった源氏。ふと尋ねてみようと思った。

みずから求めてしている恋愛の苦は 昔もこのごろも変わらない源氏であるが、 ほかから受ける忍びがたい圧迫が近ごろになって ますます加わるばかりであったから、 心細くて、 人間の生活というものからのがれたい欲求も起こるが、 さてそうもならない絆《ほ…

【源氏物語259 第10帖 賢木71】大臣の話を聞いておいでになった大后は非常なお腹立ちがお顔の色に現れてきた。

嵐を纏う written by のる 聞いておいでになった太后の 源氏をお憎みになることは 大臣の比ではなかったから、 非常なお腹だちがお顔の色に現われてきた。 「陛下は陛下であっても 昔から皆に軽蔑されていらっしゃる。 致仕の大臣も大事がっていた娘を、 兄…

【源氏物語258 第10帖 賢木70】大臣は弘徽殿の大后に源氏と朧月夜の君のことを 怒りに まかせて訴えてしまった。

蒼白な月影 written by まんぼう二等兵 大臣は思っていることを 残らず外へ出してしまわねば 我慢のできないような性質である上に 老いの僻《ひが》みも添って、 ある点は斟酌《しんしゃく》して 言わないほうがよいなどという遠慮もなしに雄弁に、 源氏と尚…

【源氏物語257 第十帖 賢木69】大臣は、のんびりと横になっている男を見た。大臣に見られて初めて顔を夜着の中に隠して紛らわすようにした。大臣は驚愕した。

夢かうつつか 寝てかさめてか written by 秦暁 尚侍が失心したようになっているのであるから、 大臣ほどの貴人であれば、 娘が恥に堪えぬ気がするであろうという 上品な遠慮がなければならないのであるが、 そんな思いやりもなく、 気短な、落ち着きのない大…

【源氏物語256 第十帖 賢木68】大臣は、朧月夜の君の着物に男の帯がまとわりついているのを見つけた。大臣ななんと恐ろしいことが起きてるのかと驚いた。

Apprentice witch written by ハシマミ 「なぜあなたはこんな顔色をしているのだろう。 しつこい物怪《もののけ》だからね。 修法《しゅほう》をもう少しさせておけばよかった」 こう言っている時に、 淡《うす》お納戸《なんど》色の男の帯が 尚侍の着物に…

【源氏物語255 第十帖 賢木67】帰ることもできず、朧月夜の君の部屋にいる源氏。その時、大臣が突然 顔を出した。顔の赤い朧月夜の君を心配する大臣。

通り雨-Shower- written by 田中芳典 雨がにわかに大降りになって、 雷鳴が急にはげしく起こってきたある夜明けに、 公子たちや太后付きの役人などが騒いで あなたこなたと走り歩きもするし、 そのほか平生この時間に出ていない人も その辺に出ている様子が…

【源氏物語254 第十帖 賢木66】病を患い 実家に帰った朧月夜の君のところに、源氏は忍んでいく。大后もいらっしゃるお屋敷‥恐れを知らぬことである。

朧朧たる夢の終わりと朝月夜的なBGM written by 鷹尾まさき(タカオマサキ) その時分に尚侍《ないしのかみ》が御所から自邸へ退出した。 前から瘧病《わらわやみ》にかかっていたので、 禁厭《まじない》などの宮中でできない療法も 実家で試みようとしてで…

【源氏物語253 第十帖 賢木65】宴で、源氏自身もよい気持ちになって、「文王の子武王の弟」と史記の周公伝の一節を口にした。

二胡のための小品〜オリエンタリズム written by 小林 樹 それもがと 今朝《けさ》開けたる初花に 劣らぬ君が にほひをぞ見る と乾杯の辞を述べた。 源氏は微笑をしながら杯を取った。 「時ならで 今朝咲く花は 夏の雨に 萎《しを》れにけらし 匂《にほ》ふ…

【源氏物語252 第十帖 賢木64】中将の次男が「高砂」を歌い出した。源氏は服を一枚脱いで与えた。歌の終わりのところで中将は杯を源氏に勧めた。

新緑芽吹く頃(The season has come,fresh greens are beginning to bud) written by 蒲鉾さちこ 今日も文士が多く招待されていて皆席上で詩を作った。 階前の薔薇《ばら》の花が少し咲きかけた初夏の庭のながめには 濃厚な春秋の色彩以上のものがあった。 自…

【源氏物語251 第十帖 賢木63】中将はいろいろな詩集を持って遊びに来た。源氏も詩集を出し、詩人達を呼び 韻ふたぎに勝負をつけようとした。

降りしきる、白(Tha long spell of falling down,white) written by 蒲鉾さちこ 夏の雨がいつやむともなく降って だれもつれづれを感じるころである、 三位中将はいろいろな詩集を持って 二条の院へ遊びに来た。 源氏も自家の図書室の中の、 平生使わない棚…

【源氏物語250 第十帖 賢木62】中将は弘徽殿の大后の妹の四の君の婿であるが 反感を持たれ昇進はなかった。始終源氏の所へ来て、学問も遊び事も一緒にしていた。

ありがとうの気持ち(Thankful mind)written by 蒲鉾さちこ 太政大臣の四女の所へ途絶えがちに通いは通っているが、 誠意のない婿であるということに反感を持たれていて、 思い知れというように 今度の除目にはこの人も現官のままで置かれた。 この人はそん…

【源氏物語249 賢木61】源氏に属している官吏も 除目《じもく》の結果を見れば不幸であった。 不面目な気がして源氏は家にばかり引きこもっていた。

時の残影 written by のる 源氏もこの宮のお心持ちを知っていて、 ごもっともであると感じていた。 一方では家司《けいし》として 源氏に属している官吏も 除目《じもく》の結果を見れば不幸であった。 不面目な気がして源氏は家にばかり引きこもっていた…

【源氏物語248 第十帖 賢木60】春の除目の際 宮付きになってる方々は冷遇された。尼になられたことで 口実をつけて政府のご待遇も変わってきた。

真実 written by チョコミント 春期の官吏の除目《じもく》の際にも、 この宮付きになっている人たちは 当然得ねばならぬ官も得られず、 宮に付与されてある権利で 推薦あそばされた人々の位階の陞叙《しょうじょ》も そのままに捨て置かれて、 不幸を悲し…

【源氏物語247 第十帖 賢木59】ご立派でも綺麗でも、正しい意味では欠けていらっしゃった。御幸福ばかりでなくおなりになって、深味がおできになりましたね。」と 老いた女房は泣く

湖底のUndine written by Ryo Lion 「ますますごりっぱにお見えになる。 あらゆる幸福を 御自分のものにしていらっしゃったころは、 ただ天下の第一の人であるだけで、 それだけではまだ人生がおわかりにならなかったわけで、 ごりっぱでもおきれいでも、 …

【源氏物語246 第十帖 賢木58】宮と源氏の座は近い。取次の女房への宮のお声もほのかに聞こえる。源氏の涙がほろほろとこぼれた。

雨音落ちる日(A day,hear the sound of rain) written by 蒲鉾さちこ 解けてきた池の薄氷にも、 芽をだしそめた柳にも自然の春だけが見えて、 いろいろに源氏の心をいたましくした。 「音に聞く 松が浦島《うらしま》 今日ぞ見る うべ心ある海人《あま》は…