2023-03-30から1日間の記事一覧
母方の祖母の喪は三か月であったから、 師走《しわす》の三十日に喪服を替えさせた。 母代わりをしていた祖母であったから除喪のあとも派手にはせず 濃くはない紅の色、紫、山吹《やまぶき》の落ち着いた色などで、 そして地質のきわめてよい織物の小袿《こ…
藤壺《ふじつぼ》の宮の自邸である三条の宮へ、 様子を知りたさに源氏が行くと王命婦《おうみょうぶ》、 中納言の君、中務《なかつかさ》などという女房が出て応接した。 源氏はよそよそしい扱いをされることに不平であったが 自分をおさえながらただの話を…
それがあってから藤壺の宮は宮中から実家へお帰りになった。 逢う機会をとらえようとして、 源氏は宮邸の訪問にばかりかかずらっていて 左大臣家の夫人もあまり訪わなかった。 その上 紫の姫君を迎えてからは、 二条の院へ新たな人を入れたと伝えた者があっ…